学校法人九州ルーテル学院 理事長 内村 公春
九州ルーテル学院は、1926年アメリカの宣教師マーサ・B・エカード先生によって「感恩奉仕」の精神のもと設立されたものです。2016年に創立90周年を迎え、2026年には創立100周年を迎えます。
これまでの歴史を振り返ってみますと、決してなだらかな道のりばかりではありませんでした。大きな戦争もありましたし、水害や地震など大きな災害もございました。このような中、歴代の院長先生はじめ、多くの関係者の方々のご努力により、現在では、幼稚園から大学院までおよそ2000人の人達が学ぶ大きな学園となり、私学として熊本になくてはならない存在になっています。一方、私立学校を取りまく環境は大変厳しくなっています。少子化は進み社会の経済状況は低迷し、さらに国の教育予算も削減されています。
かかる中、本学院理事会では「健全な精神は健全な肉体に宿る」即ち「優れた教育は健全な学校経営を基盤とする」との考えのもと経営や運営の努力をしています。
2016年の熊本地震は震度7の地震が2度襲うという大震災でした。本学院も大きな被害がありましたが多くの方々のご努力により従来通りの教育が行われるようになりました。これからも「感恩奉仕」を具現化し、さらに、学院の学生・生徒・園児ひとりひとりを大切にする教育を実践するために、役職員一同心を一つにして精進してまいりますので、皆様には、それぞれのお立場でご支援を賜りますようお願いいたします。
学校法人九州ルーテル学院長 光永 尚生
熊本の文教地区黒髪の一角の緑豊かな小高い丘に向かい、正門から坂を上るとヴォ―リスの建築によるキリスト教学校を象徴する中高本館の建物が見えてきます。
1926年に「九州女学院」としてアメリカ北米一致ルーテル教会宣教師マーサ・B・エカードにより創立された学院は、共学化も果たし、現在、保育園、幼稚園、インターナショナルスクール小学部(2024年4月開校)、中学、高校、大学、大学院を併せ持つ九州ルーテル学院として発展を遂げています。しかし創立以来変わらないものがあります。それは一人ひとりを大切にする家庭的な温かい雰囲気、スクールモットーである「感恩奉仕」、すなわち神さまの愛に感謝し、隣人への奉仕に生きる人材が育つことを目指し、変わらず教育の業に励んでいることです。このことは、今日容赦ない競争社会、冷厳な自己責任の原理が支配する生き難い世界の中で、いっそう価値を増す教育であろうと信じています。
ルーテルは、誰に対しても開かれた学院です。それは神の愛が分け隔てなく全ての人に注がれているとの聖書の教えに立っているからです。そのためにも、個別の支援を必要とする幼児・生徒・学生を受け入れ、そのための受け皿を作り教育環境の向上をはかっています。
創立100周年を迎えようとする今、自己愛を離れ、隣人への思いやり、隣人へ奉仕する精神こそがいま一番必要とされる教えであることを改めて確信し、神さまに祈りつつ学院の歩みを続けてまいります。